こんにちは、ミラノです。

 ウガス先生勝ちましたね~、それも文句なしに。
 サーマンも初回のダウンや10回にボディで下がったシーンがなければポイントで勝つことが出来たでしょうが、それが出来なかったのは4スタンス理論的にもある程度説明がつきそうです。


【サーマンがパッキャオに勝てなかった理由】
 A2タイプのサーマンは運動神経抜群で、パンチ力のあるアウトボクサーです。しかしA2タイプはそれゆえに序盤にペースをあっさり掌握しては少しずつ試合がダレて途中でコケるという試合展開に陥りがちです。

 特にサーマンはよく左右に動いて相手のプレスをかわそうとしますから、なおさら中盤以降にボディが効きやすいのですよね。また、左右に逃れる時も弧を描くというよりはカクカクした線を描くA2らしい傾向にあります。例えるならカービィのエアライドに登場したルインズスターみたいな感じです。伝わってください。


 当興行のアンダーに出場したマグサヨもA2ですが、下がり方がもったいないと指摘する方が結構いらっしゃいましたね。あれはむしろA2にありがちな動きなのです。そしてインサイドが苦手なので真っ直ぐ下がるのになかなか打ち返せない。
 だからこそA2は力強いジャブで跳ね返すか、メイウェザーのように半身の姿勢で巧みなボディワークを使っていなすかしなければならないわけです。
 サーマンはどちらの武器も充実していなかった。結果、スタミナはすっかり抜け落ちたけどパンチ力と一瞬のキレが健在のパッキャオには明確に敗北したのです。

 しかし、今回の相手はサーマンでもスペンスでもなく、ウガスでした。
 予想記事でも書きましたが、ウガスはB2タイプです。マルケスと同じです。
 パッキャオと言えばバレラ、モラレス、マルケスという錚々たるメキシカンと戦い抜いた実績がありますが、このうちマルケスには最後まで完勝することが出来ませんでした。バレラがB1、モラレスがA1であるのに対して、マルケスがB2だったからというのは大いにあると思います。

 バレラのレバーやモラレスの右ストレートより、ワンテンポ置いて伸びてくるマルケスの左フック、右ストレート、右ボラードは何倍もパッキャオにとって厄介でした。

 そして先日、パッキャオは同じB2であるウガスに敗れたのです。

 もちろんパッキャオは他のB2ファイターとも多く手を合わせ、そして勝利してきました。今回はそれを覆す要素がいくつも重なりました。

【ジャブ、体格、パッキャオのスタミナ不足、そしてB2であること】
 はい、上記のとおりです。ウガスが序盤でジャブの差し合いをある程度制した時点で、パッキャオはおびただしい発汗と共にペースを失いました。ジャブにジャブを被せるというパッキャオお得意の職人芸がこれほどまでに通用しなかったのは、ウガスが体格で大きく上回り、且つリードブローの伸びる選手であり、そしてB2タイプであるからです。

 ジャブで優位に立つことが多いのはクロスタイプ(A1/B2)だと僕は考えています。もちろんパラレルタイプ(A2/B1)でも巧みにジャブを使いこなす選手はいますが、クロスタイプ相手になると結構苦しくなりがちです。




 ドネア(A2)はナルバエス(A1)を倒せませんでしたが、前手の差し合いで明確に上回れなかったのも大きいと思います。リゴさん(A2)からは4ラウンドに左フックカウンターを決め、10ラウンドに左フックでダウンを奪えましたが、ナルバエス戦ではまともなクリーンヒットすら許してもらえませんでした。同じサウスポーでディフェンシブでもこれだけ差が出るので、タイプの違いは結構試合の流れに影響すると思います。

 で、ウガスはB2。パッキャオもA1なのでお互いリードブローが試合のカギを握る傾向にありますが、体格というアドバンテージとジャブにジャブで返す巧みな技術があったからこそ、ウガスは自分の思うように試合を組み立てることが出来たといえるでしょう。

 しかし、先日の予想記事ではジャブについて完全にスルーしてしまいました。この点でもパッキャオが上回るんじゃないかと思って言及しなかったので、これはもう完全に僕の予想が外れましたね。
 よく考えればパッキャオにとって不利なポイントが散見されるのに。体格差を的確に考慮したイメージは難しいものです。

 右ボラードはやっぱりよく当たりましたね。このパンチはパッキャオも大概狙われるのに慣れてるでしょうから、しっかりガードを上げて対処をしていましたが、体が伸びたところへ受け止めるので高確率で吹っ飛ばされました。マルケス戦とまんま同じパターン。

(9:58あたりから)

 ウガスのそれは猫背の傾向が強く、力が分散しがちなので効かせるような質のパンチではないですが、外から飛んでくるパンチの恐ろしさをよく知っているパッキャオにとって決して無視できるものではなかったはずです。
 パッキャオはフットワークがディフェンスなので、どっしり構えて巧みなボディワークを駆使してひらひら避けるのは身上ではありません。元から抱えていた問題を、彼は最後まで克服することが出来なかったといえるでしょう。


 得意の右ボディでパッキャオに踏み込みを躊躇させたのも大きいですね。これに関してはパッキャオがスタミナを気にしていたともとれますが。

【ウガス先生を称賛したい理由】
 この試合はきっとウガスの評価がうなぎ登りになるようなものではないでしょう。パッキャオは大概落ち目であり、代役だったこともありウガスは注目度の低い選手です。試合も普通に行われ、普通に終わり、普通に勝っただけです。

 でもね、なんという巡り合わせでしょうか。あれだけ期待されていたスペンスがまさか目の怪我で撤退を余儀なくされ、たまたま同じ興行での出場を予定してたところへお鉢が回り、短い準備期間でも自分の戦い方を確立し、そして勝利したのです。

 御年35、ここまで来るのに亡命、連敗という挫折、ポーター戦での議論を呼ぶ惜敗…あらゆる試練を乗り越え、ふと神様が落としていった運をガッチリつかんでみせた。

 これほどに痛快な人生もなかなかないでしょう。

 だから、僕はウガスを先生と呼ぶことにしたのです。

 試合が面白いとは言いません。でも僕は当分の間彼を推すことになりました。
 スペンスファンの皆さん、対戦よろしくお願いします。クロフォードファンの皆さん、対戦よろしくお願いします。
 終わりです。