こんにちは、ミラノです。

 突然ですが、大昔のボクシングに興味がある方ってどれくらいいらっしゃるでしょうか。

 僕はそういうの大好きです。今とは違った趣があります。背景を知ると、たとい白黒でカックカクだとしても映像の迫力が半端なくなります。

 ですがこのブログ、あくまで4スタンス理論から見たボクシングを紹介するコンセプトなんですよね。

 ということで今回は1950年代に活躍した、とある古のジャパニーズファイターを分析してみましょう。


【白井義男】


 言わずと知れた日本人最初のプロボクシング世界王者ですね。身長が高い方が白井さんです。

 彼はおそらくB2タイプです。
 股関節の高さがほとんど常に固定されていて、これは典型的なBタイプの特徴であると思います。

 体型について、肩に注目していただきたいのですが、だらんとした形状ですよね。これはクロスタイプに多く見られる特徴です。ちなみにパラレルタイプだと怒り肩になりやすいです。
 クロスタイプは身体前面を主動面とするため、胸側の筋肉に引っ張られてこのような形になるんじゃないかなぁ、などと推測しています。

 ボクシングに注目しましょう。
 まずはディフェンス。ガードは低いですが頭がよく動いていて的を絞りにくいですね。
 ダッキングにおいては、右拳を首元に添えて軸を安定させつつ、右股関節から左肩にかけて体幹を収縮させることで素早い動作を実現させています。右拳はパリングに用いることも出来ます。

 ジャブがたいへんよく伸びますが、この時も蹴り出すときに右拳は首元に添えられ、軸から股関節が逸脱することによって発生するバランスの崩壊を防いでいます。

 パンチのほとんどが強打です。しっかり腰が入っていて重みを感じますね。
 2度目のダウンを奪ったコンビネーション(7:05~)が参考になると思いますが、左アッパーを当てることによって相手の頭が流れる方向を予測し、回り込んで自分の右アッパーが最も打ちやすい方向へ相手の頭がおかれるように調節しているのが分かります。
 自分の「打点」を熟知していますね。今でもこの技術を使うB2の選手、たまに見ます。代表例はロマチェンコです。
 クロスタイプは脊椎横突起が体幹を動かす基点となるため、動作するたびに横滑りが起きます。左右を強振する場合、適宜ポジションを変えて調節する必要があるのです。

 かつて世界の頂点に輝いた技術、今でも充分通用しちゃうんですねえ。昔は昔?ノンノンノンノン。
 4スタンス理論は今と昔のボクシングを繋ぐ重要なファクターなのです。