boksado備忘録

『boksado』管理者、ミラノの物置です。

2019年12月

 こんにちは、ミラノです。早いものでもう12月中旬です。


 今年もボクシング界では様々なことが起こりました。

 良いこともあれば悪いことも、嬉しいこともあれば悲しいことも。

 特に今年は実力者として知れ渡っていたマキシム・ダダシェフとパトリック・デイが次々とリング禍によって命を落とし、日本のボクシング界隈でも馴染みのあったドゥワイト・リッチーがスパーリング中の負傷により息を引き取るなど、改めてこのコンタクトスポーツの危険性を思い知ることとなりました。

 今ボクシング界が直面している問題は山積みですが、中でも安全性については遥か昔から長きにわたって議論され、ルールも改定されていきました。

 幸いにも五体満足で現役として戦い続けるボクサーのこれからの安全を願い、今後も積極的な議論や試みが重ねられることが何よりの所望です。

 もちろんこれはボクシングに限った話ではなく、格闘技全般が常に向き合わねばならない問題です。練習、本番関係なく、いつでも格闘技は死と隣り合わせであることを、格闘技に励む全ての人が覚悟しなければなりません。
 そして対策を考え、自分の体との対話を日頃から繰り返し、周りの人は常に選手の体調を気にかけなければなりません。

 格闘技はチームスポーツです。

 改めて、格闘技で命を落とした全ての人々に、ご冥福をお祈り致します。




 話は変わります。

 4スタンス理論と出会ったことは、新たな視点の発見でした。

 ボクシングが100万倍面白くなるスパイスであり、ボクシングのことを考えすぎて寝不足気味になるほどです。

 そんな4スタンス理論の観点から、劇的なパフォーマンスの変化が明らかになった試合が今年はいくつかみられました。

 村田諒太vsロブ・ブラントⅡセルゲイ・コバレフvsカネロ・アルバレス岩佐亮佑vsマーロン・タパレス…とくにこの3つの、村田、カネロ、岩佐の3人による進化です。

 不可能を可能にした彼らの今後には、とりわけ注目しなければなりません。


 そして4スタンス理論上、数あるプロスペクトたちの中でも頭抜けた完成度を誇る選手がいます。

 ヴァージル・オルティス・ジュニアです。

 彼はB2タイプのボクサーなら誰もが注目しなければならない素晴らしい逸材です。

 ウェルター級ながらDAZNというのが惜しいですが、ここはひとつデラさんの力でライアン・ガルシアに劣らない人気・集客力を獲得してもらいたいものです。まだ21歳だし。


 今この場で、今後に期待したい選手はと言われると、多すぎて全員思い出すことすら困難です←

 これにつきましては大変活動的な僕のツイッターアカウントにて、たまに紹介するつもりです。




 階級制スポーツには、階級の壁というものがあります。

 実際にあります。

 でもそれが難なく乗り越えられてしまうトンデモな出来事も、たまに起こります。

 スポーツ業界においては様々な不正の問題がありますが、そればかりに目が行ってしまい、どこかで選手の活躍を見逃してしまっているかもしれません。

 僕は来年も、ボクシングにおける4スタンス理論の研究を続けます。

 選手を応援することとは別に、ボクシングを愛しています。

 今の僕にとっては、4スタンス理論で以ってボクシングを解き明かすことが使命であり、楽しみであるのです。



 なんという駄文でしょう。こんなのが今年最後の記事であっていいのでしょうか。

 でもあまり謙遜しているとひねくれ過ぎと言われそうなので、ここいらで景気の良い言葉で締めたいと思います。


来年も、僕の愛するライアン・ガルシア君を宜しくお願い致します!!!!

 こんにちは、ミラノです。

 僕のTwitterをフォローしていらっしゃる方などは耳にタコができるほど聞いた言葉であろう、『4スタンス理論』。
 しかし僕にとっても4スタンス理論は理解を深めるのが難しく、「だからなんなん?」というビッグな疑問符が頭の中に詰まったままの状態が結構長いこと続きました。

 正直ボクシングにおける4スタンス理論の全容を把握したわけではありませんが、少なくとも僕自身と同タイプであるB1タイプについてはある程度解明してきたつもりです。

 そこで今回は「ぼくのかんがえたさいきょうのびいわんぼくさあ」は如何にして完成するのか、トップ戦線で活躍する(した)B1タイプのボクサーを何人か取り上げ、この理論の世界から見た彼らのボクシングを説明していきたいと思います。

 え?なんか文字が消えてる?
 B1最強は永遠にマイク・タイソンだから考える必要ないんだよ(偏見

 また、ヤバいくらいの長文になってしまいましたので夜眠れない時などにお読みになると有意義な時間になるかと思います()


【①デオンテイ・ワイルダー】

 はい、まずは分かりやすいところから行ってみましょう。
 ワイルダーと言えばワンツー、特に右の一発。並み居る巨人を悉くなぎ倒してきたこの恐怖の一撃は、未だに誰も躱し切ることができていません。



 この動画には3つのKOシーンが収録されています(ブリージール戦はやや短いですが…)。

 とくに注目していただきたいのは、アルツール・スピルカ戦です。
 喧嘩四つで普段より距離が遠い状況の中、ワイルダーが左を差し出します。言わば右をコネクトするためのセンサーです。
 頭を振って近づくスピルカ、右に上体を流しながら踏み込んで左フックを浴びせようとしたところへ、ワイルダーは一気に腰を極めて内側から右をぶち込み、豪快なカウンターとなって決着がつきました。

 こちらのサイトの「その他タイプ別特性まとめ」のセクションを参照していただきたいのですが、B1の足の基点はかかとの内側になります。
 何が言いたいかというと、かかとの内側に体重が乗ることで初めてB1は最大限のパワーを発揮するのです。

 ワイルダーの場合は典型的なアップライトスタイルで、奥脚のかかとにキュッと体重を乗せるようにして小さくフットのポジションを調整するシーンが目立ちます。



 また、4スタンス理論の発案者である廣戸聡一氏はパラレル(A2/B1)タイプの身体の使い方について次のように述べています。

 パラレル(A2/B1)タイプの体幹は、脊椎そのものを中心にスピンするように動きます。そのため、身体をねじったりするさいには前後左右方向への動きが顕著になります。この特性と軸ポイントの組み合わせが影響しあって、パラレルタイプは、あたかも身体の前後の面で入れ替えたり、左右の面で入れ替えたりするような動きになります。

引用元:廣戸聡一(2014)『4スタンス理論バイブル』株式会社実業之日本社(p.239)

 ここで、スピルカ戦のワイルダーのノックアウトシーンを振り返ってみましょう。俯瞰視点の映像で確認してみると、確かに背骨を中心として両肩を入れ替えるようにパンチを振るっているのが分かります。

 もちろん、スタイバーン再戦やブリージール戦も同じ要領で痛烈なダウンを奪っているのです。

 ヘビー級を代表するKOアーティストがなぜこれほどまでにハードパンチャーとして活躍しているのか。それは、自分自身の正しい身体の使い方をよく把握しているからなのです。

 もちろんワイルダーは右ストレート以外でもお見事な身のこなしを発揮していますが、ここでは割愛させていただきます。

 ちなみにワイルダーのトレーナーを務めているマーク・ブリーランド氏も、現役時代はアップライトからの強烈な右が持ち味でした。興味ある方は是非YouTubeでMark Brelandと検索してみましょう。


【②ジョン・リエル・カシメロ】

 お次はこの選手。ご存じの通り、南アフリカのミステリアスであるゾラニ・テテをわずか3ラウンドで撃退したことで話題となった彼も、B1タイプのボクサーとして高い完成度を誇ります。



 こちらは山下賢哉戦になります。

 カシメロの構えはワイルダー以上に奥脚に体幹を傾けたゆとりのあるものですが、特に注目したいのは踏み込みからの右です。11分22秒あたりが分かりやすいかと思います。

 上体を一気に前脚側へ倒し、身体ごと叩きつけるかのようなスイング。

 先ほど載せたまとめサイトに、B1タイプの特性として「体幹の稼動は圧縮」と記されていますが、パラレルタイプの体幹には左右股関節から左右肩にかけて平行に軸が備えられています。
 B1タイプはこの2つの軸のどちらかを圧縮させることで、拳にパワーを伝えます。

 基点であるかかとの内側から勢いよく蹴り出し、カシメロは体幹の左側をギュッと圧縮させる感覚で右拳に力を伝えているのです。

 似たような要領の左ストレートをリゴさんも使いこなしていますね。もちろん彼もB1です。



 余談ですが、BTSportsが公式にアップしているテテvsカシメロの試合映像は2019年12月14日現在160万回以上再生されているそうです。
 近い将来ナオヤ・イノウエとの決戦が行われる可能性は高いですし、注目されているんですね。


【③ライアン・ガルシア】

 きたきたきた、来ましたよ僕の大好きなインスタフォロワー数438万(2019年12月14日現在)プロボクサーが。興奮で鼻血が出そうです(^q^)

 ここからは僕の愛するライアン・ガルシアがチームカネロに身を寄せてからどうしてこんなに強くなったのかを述べていきます。
 

 この映像は2018年3月に行われたフェルナンド・バルガス戦です。

 この時のライアン君は実に単純なボクシングでした。

 真っ直ぐ踏み込んでワンツーを伸ばし、ジャブを出しながら真っ直ぐ下がる。
 言ってしまえばこれだけで試合を組み立て、最後は軽く踏み込んでのワンツースリーを鮮やかに決めて失神KO。

 見事と言えば見事ですが、これ以外に引き出しがないことを後のジェイソン・ベレス戦、カルロス・モラレス戦で露呈したことは周知の事実です。



 ハイライトになりますが、直近のデュノ戦がこちら。

 プレスをかけるデュノに対して、ライアン君は背を丸めつつガードを固めて対峙します。

 この時、

奥脚のかかとの内側にしっかり力を入れてデュノのプレスを受け止め、
②右アッパーを外させてデュノのパワーを分散させたところへ上体を押し込み、
③逆に下がらせて左腕を伸ばすスペースを作り、
④差し込んだ腕をスッと抜いて右ショート→左フックを打ち込む
 という非常に多くの作業をこなしているのです。

 1年前の彼ならせいぜい左フックで誤魔化して覆い被さるようにクリンチするのが精一杯だったでしょう。

 また、せーので踏み込んでワンツーという読まれやすくその後の追撃のための姿勢もとりづらい攻撃ではなく、左に回りながら相手を常に一定の距離で捉えつつワンツーを放っています。
 これならもし躱されても懐に潜られる危険性も軽減され、何より広い視野で相手の位置を捉え続けることが可能です。

 そして頭を振り終えたデュノへ右ショート、左フック。

 改めて正対したところへ今度はいきなりの右、すかさず左上腕をデュノの左頬に差し込み、抜き取ると同時にもう一度右。

 次々と新しい攻撃パターンが繰り出される状況に戸惑うデュノ、気を取り直してもう一度距離を詰めようとしたところへ、

①ライアン君はその場でワンツー。
②スピードを意識せず力みなく精確に当てることでデュノの前進を寸断、
③最後は流れの中で放った得意の高速左フックをデュノが躱し切れず耳の裏に被弾、

 1ラウンドKOという結果に結びつきました。


 下手に踏み込んでバランスを崩したりせず、アップライトゆえに距離が遠く効果が薄い左リードブローはつっかえ棒にして相手のアクションを制限するために使い、左右の空間を活かして巧みに相手の動きをコントロールする。

 これらは全て常にかかと内側(特に奥脚)を意識することから始まっているのです。

 こんな単純なことですが、チームカネロで習得した細かい技術は全てこの意識なしには成り立ちません。

 B1はB1らしく奥脚に体重をかけてどっしり構える。そうすれば自ずと相手が動いてくれるので、それに対応し、出し抜くだけの技術があればやりたい放題にできるわけです。

 というか、2017年あたりのライアン君なんかはよっぽど良い動きしてたんですけどね。なんだか次の年はパフォーマンスが落ちていましたね。


 まだ肉体的変化が著しい20歳前後では調整の仕方も日を追うごとに変えていかなければならないのでしょう。難しい話です。


 ところで、チームカネロといえばカネロやレイ・マルティネスの検体からクレンブテロールが検出されるというスキャンダルを抱えています。

 実際にドーピングをしていたのかどうかについては毎度のことながらこの場で意見を言うつもりはないです。

 少なくとも、チームカネロに所属していればB1タイプの基礎を徹底的に鍛え上げることができる。

 俺はそう考えてる。


【まとめ】

 いかがでしたか?

 いかがもなにも意味わからんという人はその手に持っている缶ジュース、一体どういう持ち方をしているのか確かめてみてください。

 人差し指に力を入れて深くがっつりと握っていらっしゃるそこの貴方は、B1タイプの可能性が高い人です。

 サンドバッグを叩く、ミット打ちをするなどの機会があれば、是非かかとの内側を意識してフルスイングしてみましょう。拳の安全は保障できませんが、きっと普段より強く打ち込めるはずです。

 そして何より、B1タイプの代表として取り上げた3人のボクシングを真似てみることです。練習の様子を調べてみるのも良いでしょう。

 騙されたと思って、レッツトライ!

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