超久々の更新申し訳ございません、ミラノです。
実力は間違いなくある。しかしあと一歩のところで毎度うまくいかない。そんな選手はいつの時代も必ずいます。
今回はそんな惜しい選手たちに着目してみた記事です。
🥊オーバ・カー🥊
オーバ・カーと言えば、確かな実力がありながら当時のウェルター級を席巻していたデラホーヤ、トリニダード、クォーテイなどに敗北し、ついに世界タイトルを掴めなかった選手ですね。
現在に至るまで広く浸透しているアメリカンスタイルというのはA2かB1に適したボクシングであると以前から主張している僕ですが、オーバ・カーはどちらにも当てはまらない「クロスタイプ」、その中のA1タイプの選手でした。
54勝31KOという戦績は、彼が決してパワーレスではなかったことを証明していると言えましょう。しかしクロスタイプの選手によるパンチのベクトルはパラレルタイプのそれとは異なる点が多く、とりわけミット打ち練習で齟齬が生まれやすいものと思われます。
中途半端な位置で動きを止めてしまったり、連打が出そうなタイミングで攻撃が続かないシーンはこのアイク・クォーテイ戦でも多く見られるかと思います。
体幹が伸びきるタイミングで最もパワーを発揮するA1タイプの特性は、ボクシングの伝統に真っ向から反発するものです。マニー・パッキャオはA1サウスポー最強のボクサーですが、あんなにハチャメチャなボクシングというのはセオリーになかったわけです。
限界まで特性を活かせばたとい3階級上でも圧勝できます!(ただしマルケス戦のようにはっきりと弱点も現れる)
オーバ・カーにはボクシングの基礎がしっかり備わっていました。しかし残念ながら、A1ボクシングへの昇華がもたらされることはなかったのでした。
🥊ジュリアン・ウィリアムス🥊
ジュリアン・ウィリアムスは現在も活躍しているボクサーですね。下馬評を覆しジャレット・ハードに勝利、スーパーウェルター級統一チャンピオンになったのも束の間、地元で迎えた初防衛戦ではドミニカ共和国から来たジェイソン・ロサリオにTKO負けを喫し、8か月で王座を手放してしまいました。
勤勉実直な性格なのがよく伝わる真面目なボクシングでジャーモル・チャーロも手こずらせた彼ですが、これほど「何かが足りない」と観てる側に思わせるボクサーもあまりいないのではないでしょうか。
彼もA1タイプです。Gallimore戦を観ると特に感じることですが、右足を後ろへ引いて下がるシーンが目立ちますよね。右を振った時に身体が流れて相手の反撃を許してしまうことを常に懸念している証拠と言えます。
逆にインサイドになるとA1特有の前傾姿勢が機能してイニシアチブを簡単に握ることができます。ジャレット・ハード戦ではハード自身が過度な減量によって打たれ脆くなっていた説もありますが、見事2ラウンドにダウンを奪い、その後もインファイトで主導権を握り続け、見事勝利したのでした。
A1でファイタータイプの実力者は結構いらっしゃって、代表的なのがローマン・ゴンサレスです。彼のコンビネーションはもはや芸術と表現しても良いくらいですが、ミドルレンジ以内の距離で常にA1の「強い」姿勢をキープしているからこそ実現するコンビネーションでもあるのです。
ほら、ただ正面から殴り続けるのではなくて、多彩な角度から攻め込んでいますでしょう?この自然なポジションの変化がA1の特性をうまく活かし、ロマゴンのスウィート・サイエンスを実現させているのです。
🥊トニー・ハリソン🥊
最後はトニー・ハリソンです。
彼も惜しいボクサーです。ジャレット・ハードには奮闘及ばず9回TKO負け、チャーロ第1戦前のイシェ・スミス戦でも判定が割れるなど、この選手もまた実力があるのにどこか足りない。
せっかくパンチが届く距離にいるのに、なぜか手を出さないのです。おかしいですよね?
やっぱり彼もA1タイプです。オーバ・カーと同様パワーパンチは鋭く、チャーロとて油断のできない威力です。しかし、どうも相手と正対する時間が長い。クロスタイプの選手ほど左右のベクトルの変化が重要なのですが、ハリソンの戦い方は完全にパラレルタイプです。
自分の特性を活かしきれていない。そして、それをアメリカの、とりわけ黒人のボクシングコミュニティに浸透しているA2/B1のためのボクシングは教えてくれないのです…。
このように、確かな素質がありながら、4スタンス理論上タイプが合わないばっかりにボクシングの幅を狭めてしまうアメリカンスタイルでもって、真にその実力を花開かせることができないでいる(いた)ボクサーたちが、海の向こう側にはいらっしゃるようです。
念のために言っておきますが、決してA1タイプがボクシングに向いていないわけではないです。
一つ言えるのは、練習環境は大事だということです。
そして、顎の脆さに関しては基本的にどうすることもできないということです…。
実力は間違いなくある。しかしあと一歩のところで毎度うまくいかない。そんな選手はいつの時代も必ずいます。
今回はそんな惜しい選手たちに着目してみた記事です。
🥊オーバ・カー🥊
オーバ・カーと言えば、確かな実力がありながら当時のウェルター級を席巻していたデラホーヤ、トリニダード、クォーテイなどに敗北し、ついに世界タイトルを掴めなかった選手ですね。
現在に至るまで広く浸透しているアメリカンスタイルというのはA2かB1に適したボクシングであると以前から主張している僕ですが、オーバ・カーはどちらにも当てはまらない「クロスタイプ」、その中のA1タイプの選手でした。
54勝31KOという戦績は、彼が決してパワーレスではなかったことを証明していると言えましょう。しかしクロスタイプの選手によるパンチのベクトルはパラレルタイプのそれとは異なる点が多く、とりわけミット打ち練習で齟齬が生まれやすいものと思われます。
中途半端な位置で動きを止めてしまったり、連打が出そうなタイミングで攻撃が続かないシーンはこのアイク・クォーテイ戦でも多く見られるかと思います。
体幹が伸びきるタイミングで最もパワーを発揮するA1タイプの特性は、ボクシングの伝統に真っ向から反発するものです。マニー・パッキャオはA1サウスポー最強のボクサーですが、あんなにハチャメチャなボクシングというのはセオリーになかったわけです。
限界まで特性を活かせばたとい3階級上でも圧勝できます!(ただしマルケス戦のようにはっきりと弱点も現れる)
オーバ・カーにはボクシングの基礎がしっかり備わっていました。しかし残念ながら、A1ボクシングへの昇華がもたらされることはなかったのでした。
🥊ジュリアン・ウィリアムス🥊
ジュリアン・ウィリアムスは現在も活躍しているボクサーですね。下馬評を覆しジャレット・ハードに勝利、スーパーウェルター級統一チャンピオンになったのも束の間、地元で迎えた初防衛戦ではドミニカ共和国から来たジェイソン・ロサリオにTKO負けを喫し、8か月で王座を手放してしまいました。
勤勉実直な性格なのがよく伝わる真面目なボクシングでジャーモル・チャーロも手こずらせた彼ですが、これほど「何かが足りない」と観てる側に思わせるボクサーもあまりいないのではないでしょうか。
彼もA1タイプです。Gallimore戦を観ると特に感じることですが、右足を後ろへ引いて下がるシーンが目立ちますよね。右を振った時に身体が流れて相手の反撃を許してしまうことを常に懸念している証拠と言えます。
逆にインサイドになるとA1特有の前傾姿勢が機能してイニシアチブを簡単に握ることができます。ジャレット・ハード戦ではハード自身が過度な減量によって打たれ脆くなっていた説もありますが、見事2ラウンドにダウンを奪い、その後もインファイトで主導権を握り続け、見事勝利したのでした。
A1でファイタータイプの実力者は結構いらっしゃって、代表的なのがローマン・ゴンサレスです。彼のコンビネーションはもはや芸術と表現しても良いくらいですが、ミドルレンジ以内の距離で常にA1の「強い」姿勢をキープしているからこそ実現するコンビネーションでもあるのです。
ほら、ただ正面から殴り続けるのではなくて、多彩な角度から攻め込んでいますでしょう?この自然なポジションの変化がA1の特性をうまく活かし、ロマゴンのスウィート・サイエンスを実現させているのです。
🥊トニー・ハリソン🥊
最後はトニー・ハリソンです。
彼も惜しいボクサーです。ジャレット・ハードには奮闘及ばず9回TKO負け、チャーロ第1戦前のイシェ・スミス戦でも判定が割れるなど、この選手もまた実力があるのにどこか足りない。
せっかくパンチが届く距離にいるのに、なぜか手を出さないのです。おかしいですよね?
やっぱり彼もA1タイプです。オーバ・カーと同様パワーパンチは鋭く、チャーロとて油断のできない威力です。しかし、どうも相手と正対する時間が長い。クロスタイプの選手ほど左右のベクトルの変化が重要なのですが、ハリソンの戦い方は完全にパラレルタイプです。
自分の特性を活かしきれていない。そして、それをアメリカの、とりわけ黒人のボクシングコミュニティに浸透しているA2/B1のためのボクシングは教えてくれないのです…。
このように、確かな素質がありながら、4スタンス理論上タイプが合わないばっかりにボクシングの幅を狭めてしまうアメリカンスタイルでもって、真にその実力を花開かせることができないでいる(いた)ボクサーたちが、海の向こう側にはいらっしゃるようです。
念のために言っておきますが、決してA1タイプがボクシングに向いていないわけではないです。
一つ言えるのは、練習環境は大事だということです。
そして、顎の脆さに関しては基本的にどうすることもできないということです…。