こんにちは、ミラノです。

 いやぁ、凄かったですね。僕的にはライアン・ガルシアが最高のパフォーマンスを見せつけてくれたことで半ば満足してしまっていたのですが、カネロはカネロで見事でした。

 試合が始まってから分かったことを僕なりに分析しつつ、今回の試合の感想を述べたいと思います。


その1:ガードが超絶強固だった
 形容しがたいほどカネロのガードは頑強でした。コバレフの打撃がアルバレス初戦での不覚のKO負けを喫して以降安全運転を重視して軽いパンチのコンビネーションへ傾倒していたのももちろんそうですが、それにしたってナチュラルなライトヘビー級の、それも歴代指折りの強打の持ち主の攻撃をあそこまで防ぎきるとは。

 フィールディング戦でもあそこまで頑丈なガードは披露していませんでしたし、完全に想定していない要素でした。これに関してはお手上げです。恐れ入りました。


その2:スウェーバックからのリターンが強力だった
 これも想定以上でした。上体を引いてからの打ち終わり狙いの正確さはミゲール・コット戦あたりから明らかになっていましたが、今年5月のジェイコブス戦ではそれほど脅威ではない印象でした。減量から解放されて下半身に思う存分力を込めることができるようになったからなのかは分かりませんが、あそこまで強力なリターンを、それもコンビネーションで返してくるのは想定外でした。これでコバレフは迂闊にウェイト差を活かしたパワーボクシングができなくなったと言えます。

 後出しじゃんけんをするなら、ジェイコブス戦よりもフィールディング戦の方が下半身の粘り、キレは一段上でしたし、これはもしかしたら予想できる要素だったのかもしれません。

 あえてツッコませてもらうなら、「お前なんで今まで減量してたの?」ですが、キャリアを重ねていくにつれてノウハウが蓄積したのも大きいのでしょう。それにミドル級にはGGGという最大最強の不確定要素が存在してたからね。

 今ではカネロに見向きもされない扱いですが()

 あ、ちなみにここではドーピング云々についてはお話いたしません。面倒なので。


その3:B1タイプとして完成されていた
 言ってしまえばその1、その2と深く関わりのあるポイントですが、皆さん4スタンス理論についてはご存じでしょうか。多分この記事を読んでいる方は最低限名前だけでも見聞きしていると思います。
 僕の推測では、カネロ・アルバレスはB1タイプ。かかとの内側に足裏の基点箇所があり、体幹の部位を左右同士連動させる(要するに体幹を捻らない)という特長を持つタイプです。

 4スタンス理論とは、人間には最適な体の使い方というものがあり、それに適っていれば最小限のエネルギー消費で最大限のパワーを発揮することができるという優れものの理論です。

 ハイライトなりなんなりでカネロの構えを見てみてください。手を出さずにディフェン
スに徹する時を除いて、べた足且つそれほど前傾ではない(むしろ後傾だったりする)ことが分かります。上体を倒さない分ジャブのレンジはやや短いものの、かかと内側を基点に打ち出す左フックや右ストレートは完璧なウェイトの乗せ方です。

 姿勢を整えてからパンチを放つまでほぼノータイムというセッティングの素早さも目を見張りますが、これにもカラクリがあります。

 前傾からのスウェーバックによって4スタンス理論でいう軸-JIKU-が整えられ、瞬時に強力なリターンを返すことが可能となっているのです。


感想:カネロは大型版比嘉大吾と化した
 フットワークの代わりにディフェンスが強化されたバージョン、という印象です。あそこまで強靭且つ優れたバランス感覚の下半身を持つボクサーはワールドクラスでもそうそう見当たりません。

 お互いが自信を持って臨んだこの試合、終わってみれば策略にはまったのはコバレフの方でした。チームカネロの分析力の高さは実に天下一品です。

 ひょっとしたら、比嘉くんもこんな感じで意外とすんなり上の階級に順応するのかも…?なんて勘ぐってしまいます。彼の場合フットワークあってのファイタースタイルという側面もあるので安直に結び付けられない気もしますが。

 メキシコ系のB1タイプは是非ともチームカネロに指導してもらうべきです。僕の推測ではこのチームに身を寄せ、現時点でブイブイ言わせているセンセーショナルなファイターであるライアン・ガルシアやフリオ・セザール・マルティネスもB1タイプです。


 それにしても、4スタンス理論の重要性をまざまざと思い知らされる試合でありました。Twitterで申し上げた通り、日本のB1タイプの選手はKODLABへ行きましょう。絶対に一皮むけます。というか既に一皮むけている選手がいます。村田諒太です。

 でもやっぱり僕はライアン君の試合ばっかりヘビロテしてます。試合時間が短かったのもあるけど。


 ライアン君好き。大好き。何回言っても足りないや。