BOKSADO備忘録

管理人(白井ミラノ)によるメモ書き置き場。

カテゴリ:ボクシングの4スタンス理論考察(旧記事) > B2タイプ【4スタンス理論】

ご無沙汰しております、ミラノです。

YouTubeに動画上げてみたり、boksadoにBoxRecIDを載せてみたり、試行錯誤をダラダラと繰り返しておりましたが、いい加減こっちもやらなきゃと思いまして…。

別に誰かからお金をもらってるわけじゃないので、更新は全て僕のやる気次第なんですよね。ほんとすんません()


さて、人は予想するのが大好きです。予想が外れるとがっくりきますし、当たるといい気分になれます。

なので、今週末に予定されているパッキャオvsウガスの予想をバッチリ当てて一円にもならない男のプライドを誇示してやりたいと思います。



【ヨルデニス・ウガスについて】


 まずはウガスから見ていきましょう。
 試合運びが堅実過ぎて評判がよろしくないウガスですが、選手としては非常に優秀です。覗き見るようなガードで堅い防御を築き、相手の攻撃に対し強い左右ボディで迎撃して体力を奪い、右ショート及び右ボラードで顔面を痛打するというのが彼の基本的な攻撃プロセスです。

 フィジカルも充実していて、ほとんどの試合において引いて戦うのは稀です。パッキャオ戦でも前に出るのはウガスでしょう。

 ただし、決定力には欠けます。思うに、ウガスはほとんど常に腰が浮いてしまっているのです。
 当サイトのブログを読み漁ったような方は既にご存じかと思いますが、B2タイプの特徴として奥足かかと外側、奥足側股関節、正面側首付け根を固定ポイントとして一直線上に揃えることで基本的な姿勢が完成する、というものがあります。

 ウガスはどうでしょう。頭部を前面に突き出す形で、つまり顎が上がった状態で構えるため、首付け根が引っ張られてしまっています。それゆえ、かかと—首付け根の直線上から股関節が抜けてしまっているのです。

 ここで同じウェルター級で最近話題のヴァージル・オルティス・ジュニアや、歴代ミドル級最強候補と言って差し支えないGGGのパフォーマンスを見てみましょう。






 どちらもボクサーというよりはファイターですが、しっかり顎を引く(というより、首を引く)ことで姿勢を完成させています。どんな選手にも言えることですが、美しい姿勢は決定力に繋がるのです。

 ウガスは基本的には迎撃に依存したファイトスタイルです。相手がジャブを打った時、素早くスウェーバックして右ショートを打ち返すのが得意ですが、これはスウェーを行うことによって姿勢が修正され、軸が完成するからです。

 相手がボディを効かされて後退してもなかなかラッシュを仕掛けられない原因が、この点に集約されているといっても過言ではありません。
 また、上の動画では8ラウンドに右アッパーが効いたのを見て猛ラッシュを仕掛けるシーンがありましたが、恐ろしいほどに的中率が低い。慣れていないのもあると思いますが、やはり姿勢が整っていないことに起因していると思います。


 もちろん、徹底したガードと的確なボディショット、そして強靭なフィジカルといった彼の武器は、これまでのほとんどの試合において欠点を補って余りあるものとして機能してきたことは事実です。
 しかし、基本的な姿勢において欠陥を抱えているこのボクシングで、パッキャオ戦において確実な勝利を掴めるのかは、甚だ疑問です。



【マニー・パッキャオについて】


 次に、皆さん大好きパッキャオについて。
 流石にフットワークの鈍化、ガスタンクの縮小が顕著ではありますが、サーマン戦では10ラウンドに土壇場でレバーを効かせるなど異様なまでの決定力は相変わらずです。

 サーマンはA2タイプで、正面を外されるのを苦手としています。この試合の4ラウンドまではパッキャオに左右関係なく回り込まれ続け、彼が失速するまでペースを奪われっぱなしでした。

 初回にダウンを奪ったワンツースリーはコット戦でも火を噴きましたが、このA1ならではの高速コンビネーションはウガスにも通用すると思います。コットやウガスといったB2のパンチは外回りの軌道になりやすく、到達が少し遅れがちです。コット同様高機能なバックギアに欠けるのであれば、尚更被弾する確率は高くなります。

 ただし、ウガスの右ショートカウンター、及び右ボラードも綺麗に当たる確率が高いです。B2オーソドックスによるこれらのパンチに苦しんできたのは、ほかでもないパッキャオだからです。



 永遠のライバルと言っても過言ではないパッキャオとマルケスですが、マルケスは繊細なフットワークに基づく絶妙な距離の調整でもって、また時に大胆に踏み込んで右を当てるB2ファイターです。戦い方は違えど、繰り出すパンチの軌道はウガスと似ています。

 パッキャオがダウンするとしたら、ジャブに対する右ショートか、反時計回りに逃れようとしたところへの右ボラードだと思います。



【予想:パッキャオ判定】

 勝つならパッキャオです。上述した通りウガスは顎が上がった状態で構える傾向にあり、ひとたびガードが緩むと危うさが急激に増します。連打の的中率の悪さも、反撃を受ける要因になりかねません。

 そしてボディによる迎撃と右ショート、右ボラードでどれだけ支配できるかと言われると…うーん、微妙!

 サーマン戦のように消耗の激しい試合展開になるとも予想しにくく、やはりパッキャオ有利に変わりはないのかなと思います。

 つまり、僕が応援しなければならないのはウガスです。


 というか、なんなら前にもこのブログでウガスについて取り上げてた覚えがあるんですよね。その時も辛口でしたが、今回も似たような感じになってしまいました。

 でもね、プロでは思うように躍動できずとも、ここまで頑張ってきた彼を応援せずにはいられないのです。

 欠点が何だと言うのでしょう。僕としては、応援するかどうかには大して影響しない要素です。



 今回はリハビリついでに予想記事を書いてみました。

 予想を書いたからには、もちろん感想と分析も記事にまとめたいと思っています。

 21日、両者及び興行に出場する全ての選手が万全の状態でリングに上がれることを願っています。

 どうも、ミラノです。

 いきなりですが、「boksado」を開設したのにはちゃんと理由があります。

 一つは、僕の中で4スタンス理論の世界から見たボクシングを整理するためです。
 ボクサーはそれぞれのタイプの特徴を活かして戦います。同タイプであれば、共通点を見出して有効な攻撃パターンやディフェンスの仕方、更にはトレーニングの方法が分析できるはずです。

 そしてもう一つはもちろん、皆さんに知ってほしいからです。
 そこにはいろんな夢があると思います。憧れのあのボクサーと同タイプだった!とか、この選手を参考にしてもっと強くなりたい!といった感じで、4スタンス理論から見たボクシングの世界を知ることで、よりこの競技の(選手の)深みを追究するきっかけになれたら、これ以上に素晴らしいことはありません。

 この競技への一層の発展を願って、微力にも満たないものではありますが貢献したいと思い、当サイトの開設に至りました。

 私めがプロボクシング(特に男子)に偏りがちなため、リストに載っているのは今のところ男子プロボクサーばかりではございますが、今後とも「boksado」をよろしくお願い致します。
 よろしくお願いされたくないかもしれないけど←


 さて、本題です。

 皆さんは、フェリックス・トリニダードとアンヘル・アコスタのどちらの名前も知っていらっしゃるでしょう。
 かたや3階級制覇を成し遂げたプエルトリコの英雄、かたや田中恒成と激闘を繰り広げた超軽量級の猛パンチャーです。
 今回は彼ら二人のボクシングを比較して、4スタンス理論上彼らが同タイプであることを主張したいと思います。


🥊フェリックス・トリニダード🥊

 プロボクシングについてある程度調べていれば必ず知ることになるであろうプエルトリコのビッグネーム、フェリックス・トリニダード。
 彼はプエルトリコのボクシングの代表といっても過言ではない存在です。

 彼の伝家の宝刀左フックについては黒歴史があるのですが、ここでは取り上げないことにします。

 まずは映像を見てみましょう。 
 

 いやぁ、左フックのフォームが本当に美しいですね。この試合は接近戦が中心ですが、距離が開いているときの構えはB2ファイターの理想的な姿勢といっていいでしょう。以下がそのスクショです。
 スクリーンショット (173)
スクリーンショット (172)

 『4スタンス理論バイブル』によればB2タイプの基本的両肘位置は正面から見て「鎖骨の下」に来ますが、これはA2やB1といったパラレルタイプと比べてより脇が締まった構えになります。
 フェリックス・トリニダードの構えはいわゆる「ピーカブースタイル」を彷彿とさせますが、フロイド・パターソンやマイク・タイソンの構えはトリニダードよりも脇が開き気味なのです。




 一目瞭然ですね。


🥊アンヘル・アコスタ🥊

 お次はこの選手。田中恒成と大激闘を繰り広げたライトフライ級のハードヒッターですね。
 この選手も典型的なプエルトリカンといっていいでしょう。アップライトの姿勢から繰り出す左フックのコンビネーションはまさに'Tito'そのものです。



やはり彼も脇を締めた構えが印象的ですね。そしてアップライトの姿勢から繰り出す強力な連打は、後ろ脚が軸となるBタイプの特性をよく活かしたものといえます。
スクリーンショット (264)
スクリーンショット (265)
スクリーンショット (266)
スクリーンショット (267)
スクリーンショット (269)

 スクショ連射だと分かりにくいですが、背骨の右棘突起を軸に豪快な左フックを決めております(体の中心線ではなくやや右寄りの部分が軸となっている)。
 また、手首に注目するとやや「屈曲」していますね。エイドリアン・ブローナー(A2タイプ)のような「はたく」左フックではなく、クロスタイプは腕の内側を主動させるイメージで全身運動がとりやすくなるので、自然とフックもねじ込むような打法になるのです。これはトリニダードとの決定的な共通点となります。



 結論としては、これら2選手はB2タイプであるという点で共通している、ということになります。

 文章量に乏しい記事となってしまい申し訳ございません()

 どうしても間違いのないようにまとめようと思うと、こんな感じで特定の選手に限定せざるを得ないですね。

 どうも、ミラノです。

 実はいろんな書きかけの記事があるのですが、どうもうまい具合にまとまらなくて困っています。

 この記事も同じ運命を辿るかも?さすがに更新頻度もう少し上げたいんですけどねぇ。


【B2によるステップインフェイント→右ボディ→右アッパー→左ショート】※7:19~


《位置取り》
◆相手(マルチネス):赤
◆ロマチェンコ:青
※矢印はマルチネスが移動させられる方向
スクリーンショット (2)

①ステップインと右リードフェイントで相手のタイミングを奪う

 まずは自分のやりたいようにできる条件を整える作業です。
 この時点でロマは自分から見て左側へマルチネスが移動してほしいと考えています。

②身体全体の軸をやや右に倒し、左半身を軸に右ボディ

 そこで自分から軸を右に倒し、マルチネスが右へ移動するパターンを封じます。
 右リードフェイントで顔面へ意識を集めたので、ボディショットから組み立てやすくなっています。

③マルチネスが左へ移動するのを見越し、反動を活かして同じ要領で右アッパー

 最終的には反撃されずにターンを終えたいので、フィニッシュは顔面に持っていきたい。
 ボディを狙う=頭の位置が近くなるということなので、スペースを作りたい。
 そこで打ち込んだばかりの右拳を、今度は顔面へ突き上げます。

④マルチネスの上体が起きたところへ、右半身を軸に左ショート

 右アッパーで終わるわけにはいきません。相手はロープ際にいます。
 そうでなければ③で終わりでもいいですが、バックステップが使えない以上相手は状況を打開する方法を持ち合わせていません。
 なので最後に左ショートを顔面に打ち込み、このコンビネーションを終えるわけです。


 ここで僕のアカウントをフォローしている方なら耳に胼胝ができるほど聞いたワード、4スタンス理論の登場です。
 ヒトの身体の使い方はA1、A2、B1、B2タイプに分類され、タイプによって得意不得意があるという興味深いものです。
 B2サウスポー体幹の稼働が収縮であることから、伸び上がるような左ストレートは打ちにくいという制限があります。
 実際、ロマチェンコはパッキャオのようなギューンと伸びる左を打ち込みませんよね。単にリーチが短いからではなく、4スタンス理論上よろしくない打法なのです。

 その代わり相手がロープ際に詰まって下がれない状況で、且つ左へ移動しようとしていれば、B2特有の収縮型左ストレートが綺麗に決まるわけです。
 なのでこの状況においてロマチェンコは自分のタイプに合った条件を見事に揃えてこのコンビネーションを完遂したわけです。ノーダメージです。素晴らしい。


 ちなみに、似たような状況で悲惨な目に遭う場合もあります。

 ちょっとだけYoutubeでボクシングの映像を漁った方でもほとんどが見たことあると思います。


※追記※
下記はパッキャオをA1として解説を進めていますが、実際にはA2の可能性が高いようです。
Aタイプは共通して体幹の稼働が伸展であることから、A1をそのままA2と読み替えて差し支えないと思われます。


【B2によるバックステップ→右ワイドカウンター】※24:11~


 このシーンにおける二人のポジションは上に載せたロマvsマルチネスのあの状況とほぼ同じですね。

 パッキャオはA1タイプと考えられています。
 A1タイプの体幹の稼働は伸展、つまりロマとは反対で身体が伸び上がるような動きの中でパンチを繰り出すと強打になります。
 対するマルケスはおそらくB2タイプ。彼はカウンターの名手ですが、相手が踏み込んできたところを半歩下がったエネルギーでもって体幹を収縮させ、フックやアッパーで自在に迎え撃つ戦法が得意なのです。

 これだけでもパッキャオとマルケスが異常に噛み合う理由の説明がつくと思います。

 パッキャオは得意の体幹の伸展からの左ストレートを打ち込もうとしたところへ、マルケスによる半歩下がっての体幹の収縮を活かした右カウンターがジャストミートしてしまったということです。

 じゃあどうしてロマのように右サイドから攻撃を展開しなかったのか。理由は単純で、必要以上に右サイドへ回ると得意の伸展型左ストレートが打てないからです。

【A1によるジャブ→伸展型左ストレート】※3:18~


【A1による左ヘッドスリップ→右ジャブ→伸展型左ストレート】※40:58~


 これら2つのシーンからも分かると思いますが、パッキャオは相手の懐へ飛び込むように左ストレートを狙い打ちます。

 バックギアの効きが悪いブローナーやフィジカルで劣るアルジェリなどにはこうして通用するのですが、どうもマルケスだけは…。

 じゃあA1サウスポーはB2オーソドックスに対して分が悪いのか?決してそうではないと思います。

 根拠はまだ見つけていませんが()


 今回はこの辺にしときましょうか。動画も埋め込むと記事の長さが稼げますね!←

 それではノシ

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